サバニのフーバシラ(帆柱)作り

「サバニの帆柱を作るよ!」と聞いて、見学に行ってきました。その過程で、なるほど!がたくさん有って面白かったので、忘れないうちにメモ&公開しておきます。

今回は、7mの杉丸太を6.2mにカットして、そこから帆柱を削り出します。帆柱の材としては檜なども選択肢にあがりますが、杉の丸太(6m、7m)が在庫や価格面で比較的入手しやすいようです。

削る前に

まず、丸太を台の上に置いたら、帆柱を立てた時にうしかきの位置にあたる部分にマジックでマークを付けます。帆柱で一番太くなる部分がこのうしかきの部分になります。今回作る帆柱はこのうしかき部分が80mm角の四角材になるよう加工します。

ちなみに、うしかきの20cmほど上から下(ハイウシミー)側は四角く削り、先端側は八角〜円状になるように削ります。うしかき部分を四角にするのは、帆柱とうしかき(とくさび)の接触面積を増やして力のかかる点を分散し、折れにくくするためです。

丸太を四角材に削る

削る前の杉丸太は転がって不安定なので、固定台が(2個)あると便利です。固定台は片面に90度のV字の溝をきってあります。下の画像ではV字が下を向いてますが、丸太や四角を斜めに固定する場合はこれを上下逆にして使います。

材を固定したら、電動カンナでガシガシ削ります。まずは一辺を削り、ある程度削ったら180度回転させて裏側を同様に削ります。削った面が斜めにならないよう、カンナを使う際は水平を意識します。

上下の2面をある程度削ったら、90度回してまた削る。この際に、あのV字溝の固定台が便利。

こうして、丸太を最大80mm角の四角材にしていきます。

削り出しを進めていくと、材の歪みが気になってくるかもしれませんが、無理にまっすぐ削り出そうとせず、材の芯にあわせて削ります。芯を中心に削り出せば、帆柱は多少歪んでいても問題なし。

削っているうちに、うしかきの位置に付けた印が消えるので、忘れて削りすぎないうちに何度も印をつけ直しておきます。うしかきの部分は80mm角を下回らないように気を付けて。

ハイウシミー側は、四角柱のままテーパーをつけ、末端をハイウシミーの穴のサイズに合わせて削ります。

帆柱先端にかけても、四角柱の状態で削っていきます。ひとつの面だけを削りすぎないよう、4面が同じ幅を維持するようにノギスで幅を測りながら、削ります。そうすれば、自ずと材の芯に沿って均等に削れるようです。先端に近い方は削りすぎを防ぐために注意深く。

四角材から八角材へ

四角材の状態で必要なだけ削ったら、残すは帆柱の先端側を八角材に削ります。この際に、またあの固定台の出番です。台にきってあるV字の溝に四角材の角の部分をはめて固定すると、なんと反対側の角がちょうど上に来た状態で固定されます。この状態で各角にカンナをかけていくと、四角材が八角材になるのです。

先端側も、削りすぎないように八角にしていきます。下の画像はその途中の様子。

芯を中心にきれいに八角材に仕上がっていきます。

ここまでくればほぼ完成。あとは、サンダー掛けて表面を処理して、先端にアイボルトを打ち込むもよし、アイボルト付きの金具をかぶせるなら現物合わせで微調整しながら。仕上げにワトコオイルを塗るのも忘れずに。

生節と死節

芯材には節がつきものなのですが、その節にも「生節」と「死節」があります。

生き節

生きた枝を幹の成長が取り込んだ生節は、枝と周辺の組織が結合しているので特に意識しなくて良いそうです。

死節

死節は枝が枯れた状態で幹が成長し、その枝を巻き込んだものなので、枝と幹の組織が結合していない状態です。なので、その周辺は強度も弱く、力がかかるとそこから割れに繋がります。

実際には丸太を削ってみないと節の様子はわからない場合が多いのですが、できればうしかき周辺に死節が来ないようにうまく材を利用すると良いようです。

もし、うしかき付近に死節が来る場合は、帆漕時の帆柱への荷重を考慮して「死節の有る面を帆柱のバウ側に」してに使うと良いそうです。

材木の購入

沖縄県内で帆柱に使うような長い材木を探すなら、個人的には中頭郡中城村にある成田材木さんがオススメかなと思います。杉丸太なら在庫も豊富だし、アウトリガー用の太い真竹など、在庫がない材も要望に応じて取り寄せや入荷連絡も対応してくれました。

株式会社 成田材木 https://www.narita-zaimoku.com

まとめ

というわけで、作業時間は約3時間ほど。

一連の過程で使った工具は「電動カンナ」と「ノギス」とあの「V字溝の固定台」のみ。墨打ちなども一切不要で、芯に沿って各面を均等に削るのみ。とてもシンプルな工程でした。

そういえば、今回のように材木をバリバリと削りまくる場合はモーターへの負荷もそれなりに掛かります。電動工具は連続して使用するとモーターが焼き付くこともあるそうなので、今回の電動カンナも連続使用は避け、ちょくちょく休ませながら作業した方が良いそうです。

なるほど!なるほど!

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